LIFE & YOGA ヨガのあるライフスタイル

LIFE & YOGA ヨガのあるライフスタイル

Vol.1 西海岸サンタモニカで出会ったヨガの大御所、エリック・シフマン

ヨガのあるライフスタイル、と聞いてあなたはどんなシーンを想像しますか。朝日に向かってヨガをするひと? 就寝前のメディテーション? それとも、アーユルヴェーダの食事法を実践する姿? 暮らしに生きるヨガを考えてみても、ヨガとのつきあい方はひとそれぞれ。このコラムでは、国内外で出会ったライフスタイルもヨガスタイルも異なるヨギーたちに、それぞれのヨガとのつきあい方を尋ねました。あなたらしくヨガを暮らしに取り入れるヒントを見つけませんか?


その名もずばり「フリーダムヨガ」というスタイルを掲げるヨガティーチャーのエリック・シフマン。シヴァ・レーやブライアン・ケストなどとともに西海岸を拠点とする大御所ヨガティーチャーであり、ヨガ関連書籍の著者として世界中でその名を知られている。ウィキペディアによると、ヨガの同志であり、俳優、ハンフリー・ボガードとローレン・バコールの長女、レスリー・ボガードと結婚生活を送っているとある。

エリック先生を、サンタモニカのご自宅に尋ねてくれたのは、京都出身、北イタリア在住のヨガインストラクター、大西枝美さん。約半世紀もの間、ヨガを実践し教えているエリック先生が考える、暮らしに生かせるヨガとは? ビギナーでも取り入れやすい、3つの習慣を教えてもらいました。

1953年生まれのエリック先生がヨガを始めたのは1960年代後半。ベジタリアンになり、ヨガをし、瞑想することで、私の言っていることがわかるようになるだろう、という内容のクリシュナムルティの言葉に興味を懐き、当時英国に滞在していたクリシュナムルティに直筆の手紙を送ったのだという。クリシュナムルティの勧めで二十歳で単身インドへ渡航。「ヨガの父」と呼ばれるクリシュナマチャリアの息子であるT.K.V.デスカチャーからヨガ哲学を学んだ。西海岸に戻ってからは、日本でもおなじみのシヴァ・レーとともにスタジオ講師を勤めていたこともある。ヒッピームーブメントに感化されてインドを目指したエリック先生は、インドからアメリカにヨガを持ち帰った西洋のヨガムーブメント先駆者のひとりでもありました。

LIFE & YOGA ヨガのあるライフスタイル

Yoga×Lifestyle 習慣1
THINK LESS. BE TRUE TO YOURSELF

考えすぎず、ありのままを受け入れる

「ヨガプラクティスの本質はメディテーションにあります。とりわけ、ビギナーにとってはヨガプラクティス最後のシャヴァーサナで、無になる瞬間というのを味わうことになります。アーサナで集中力を培うことや、シャヴァーサナでリラックスすること、また背骨を立てて座ることなど、プラクティスのプロセスがメディテーションの入り口になります。目を閉じることに抵抗があるひともいれば、心地よく座るのに苦戦するひともいて、無意識の癖に気づかされることがあるでしょう。また、ヨガプラクティスの後で、街を歩いているときに心が軽くなっていることに気づく場合もあります。いい変化だと感じても、その変化を受けいれるかどうかは、その人次第です。私たちの多くは、変化を望みながら変化を好まない傾向がありますから。考えすぎず、直感に従うことも大切でしょう」

Yoga×Lifestyle 習慣2
BED-TIME MEDITATION

就寝前と起床後のメディテーションで感度をあげる

「この何年か生徒に課題として推奨しているのが、就寝前と起きぬけのメディテーションタイムです。ベッドに立てかけた枕を背もたれにして、眠りにつく前の時間、ほんの一瞬だけでも座ってみるのです。すぐ寝てしまっても大丈夫ですし、眠ってしまっても朝になれば目覚ましが鳴ります。起床後のメディテーションは、上体を持ち上げるのに一苦労するかもしれませんが、その場合はシャヴァーサナでもOKです。一度メディテーションの気持ちよさを知ると、習慣にしてみようかな、と思えるものです。自宅で下地をつくっておくと、ヨガクラスに行ったときに、同じような感覚で座る準備が整えやすいのでお勧めしています」

Yoga×Lifestyle 習慣3
ACTIVE LISTENING

アクティブリスニングで“注意深く聴く”ことを習慣に

「プラクティスで身体の使い方を習得するためには、注意深く詳細を確認していく必要があります。インドでアイアンガー師にヨガを習ったことがありますが、「膝を引き上げて!」と怒鳴られたが矢先「エリック、君は英語がわからないのかね」と注意されたものです。最初はそれでいいのです。歌を習うのと同じように、まず歌を聴き、繰り返し耳を傾けることでしか習得できません。心がざわざわしてどうしても集中できないという場合は、まず自然が感じられる場所に身を置き、深呼吸することから始めてみるといいでしょう」


Eric ShiffmannEric Shiffmann(エリック・シフマン)
14歳でヨガに目覚めたエリックは、半世紀のヨガプラクティショナーであるとともに、ワークショップや執筆活動を通して、生きる術としてのヨガを伝達している。インドで二十歳の頃、クリシュナマチャリヤの息子であるT.K.V.デスカチャー、B.K.S.アイアンガーに学んだ後、ヨーロッパでドナ・ホールマン、ヴァンダ・スカラヴェリからヨガを学ぶ。スタイルに捉われない独創的なシークエンスと丁寧なガイダンスに定評があり、アリ・マックグローとの共作DVD『YOGA MIND & BODY』のほか、著書『YOGA: The Spirit and Practice of Moving into Stillness』は世界中で読まれている。カリフォルニア州サンタモニカ在住。